『下町ロケット ガウディ計画』紹介レビュー | 佃が挑む新たな試練。人工弁開発「ガウディ」計画

『下町ロケット ガウディ計画』(池井戸潤 著)をAudibleで聴いたので作品内容や注目ポイントを紹介します。

『下町ロケット ガウディ計画』ショートレビュー

ロケット部品の開発ももちろん人命がかかった重大な仕事ですが、今作のテーマはさらに人命そのものと言える人工心臓の開発。

理念的には力になりたいものの、下町の中小企業にとってあまりに重い課題に佃社長は再び頭を抱えることになります。

人工弁『ガウディ』計画を持ちかけたのは前作の『裏切り者・真野賢作』

『ガウディ』計画はハイリスクではあるものの、佃製作所にとって大きなチャンスでもあります。

そんな大きな仕事を持ちかけたのは前作で佃製作所を『裏切った』元社員・真野賢作。

真野は帝国重工との取引内容に関して佃社長と対立。帝国重工の製品テストで自社製品に欠陥品をわざと紛れ込ませる蛮行に走り、最終的に退社していました。

その真野が再び登場し、パートナーとして『ガウディ』計画への参画を佃社長に依頼します。

佃社長は自社に大ダメージを与えた社員にも目をかけていて、その温情がビジネスチャンスとして返ってきた形です。

内容的に『下町ロケット』のロケットの割合はだいぶ薄まってますが、佃社長の人情は変わらず『下町』を感じさせます。

『下町ロケット ガウディ計画』作品情報

主な登場人物・人物相関図

詳しい登場人物まとめ

オーディオブックだと頭に入ってこない事があるため、なるべく全人物メモしてます。同様の方がいたら参考にしてください。
※オーディオブックでの視聴のため、正確な表記が不明/誤りがある場合があります。漢字はwikipediaや本を参照。

佃製作所	前作に登場
佃 航平	１	佃製作所（精密機械製造業）社長
殿村直弘	１	経理部長。元白水銀行社員
津野薫	１	営業第一部（小型エンジン）・部長
唐木田篤	１	営業第二部（小型エンジン以外）・部長。 外資系IT企業出身。『徹底した合理的思考の持ち主』
山崎光彦	１	技術開発部長。38歳。佃と同じ大学の後輩。 『３度の飯より実験が好き。どこから見てもオタク』
江原春樹	１	営業第二部。「若手のリーダー」
中里淳なかざと あつし		技術開発部。社に不満を募らせる。
真野賢作	１	４年前に佃製作所を退職した元社員。 現・アジア医科大学先端医療研究所・主任研究員。
立花洋介	１	技術開発部。若手
加納アキ		技術開発部。入社３年目の女性エンジニア。
はなむら とみこ	１	総務担当。ベテラン女性社員
かわた		営業第二部。若手
神谷修一	１	顧問弁護士。 『知財関係で国内トップクラスの凄腕』

ガウディ計画関連
一村隼人	福井県 北陸医科大学教授。人工弁を開発 元アジア医科大学。貴船と因縁あり
なかの あや	一村の秘書
桜田章さくらだ あきら	桜田経編さくらだたてあみ会長。桜田経編の子会社の株式会社サクラダ・社長
桜田努	桜田経編社長。章の弟
はるやま	桜田が雇ってる医療機器コンサルタント PMDA申請手続きに詳しい
たかはし けいた	一村が担当している手術予定の心臓病患者

帝国重工
財前道生ざいぜん みちお	１	宇宙航空部・宇宙開発グループ・部長
石坂宗典		同・宇宙航空部・調達グループ部・部長 財前のライバル的存在
水原重治	１	本部長。『にっこり笑って人を斬る』
富山敬治	１	宇宙航空部・宇宙開発グループ・主任
あんどう ひろし		ヘルス開発部門部長

日本クライン関連	人工心臓『コアハート』を共同開発
久坂寛之	日本クライン・製造部長。『どこか気取った雰囲気』
藤堂保	同・企画チームマネージャー。30代半ば。『底が見えない』
すずき けんしろう	同・社長
しげよし まさお	同・顧問弁護士事務所・主任弁護士。
アジア医科大学
貴船恒広	心臓血管外科部長。 日本クラインと共同開発している人工心臓開発のチームリーダー。
こまがた とくじろう	同大学・理事。創業者の末裔。公認会計士。（貴船の天敵）
たにはら ひろたか	同大学・理事長
ながの こういちろう	同大学・病院長
まきた えいすけ	同大学・医師。患者・コニシの担当
かさい	同大学・当直の研修医
こにしさとる	患者。心不全。人工心臓・コアハート臨床一号。父：まなぶ
みしま	同大学・医師
ますだ みのる	同大学・事務長
くにい	病院の弁護士
よしだ	アジア医科大学先端医療研究所 所員
はぎお いっせい	同・大学学長。貴船の元同僚
サヤマ製作所
椎名直之	サヤマ製作所・社長。NASA出身
月島尚人	同・開発部マネージャー
よこた	同・開発部の『窓際』社員
しもえだ	同・開発部
滝川信二	独立行政法人医薬品医療器具総合機構（Ｐｍｅａ）審査担当者。 元エンジニア。貴船と昵懇の仲。
山野辺敏	同・審査員

その他
さえき	東大医学部の外科医。佃製作所・山崎の友人
にしお	学会誌編集。一村の論文を査読。
さくま のりこ	フリーのジャーナリスト。医療事故に関して調査
いいづか	『週刊ポルト』編集長

シリーズ・聴き順について

１作目のレビュー記事に書いてます。

『下町ロケット ガウディ計画』ナレーションについて

ナレーションは『平川 正三』氏。

前作『下町ロケット』と同じです。

感想も前作と変わらず良かったの一言。

細かい点を一つ言うと、前作の佃製作所の社員『山崎（やまざき）』の読み方が『やまさき』になってました。

あとがき

前作の後半でロケットエンジン開発に携わることになった佃製作所。

続編ではよりロケット開発方面に進むのかと思ったら、テーマは人工心臓。全く予想外というか、予想しようのない展開でした。

全体的に企業間の競争や権力志向が渦巻く様が描かれているのは他の池井戸作品にも共通してます。

ただ、その中で『命・医療』が関わる領域が舞台になっている点は他作品と大きく異なるポイント。

片側に人命、片側に利益追求と功名心が乗った天秤の危うさや怖さを実感させられます。

著者	池井戸 潤
ナレーター	平川 正三
再生時間	10 時間 19 分
発行年	2015
配信日	2018/08/26