タイトル通り、オーディオブックの再生時間から本のボリューム感を類推する方法を検証してみました。
動機としては、単純に
『このオーディオブックは本だったらどのくらいのサイズ感なんだろう?』
と気になったためです。
『再生時間7時間/15時間』とだけあっても、どのくらいのページ数なのか?厚みの本なのか?
なかなかピンときにくいです。
そこで、オーディオブックの再生時間からおおよその文字数、ページ数を推測する方法をまとめました。
最後に実際に所持してる本の画像をアップして、再生時間と本の厚みの相関も比較しています。
オーディオブックの再生時間から本の合計文字数・ページ数を推測する方法
ナレーションには一般的な平均速度(1分あたりに読む平均文字数)があります。
そこから以下の計算でおおよその本のボリューム(総ページ数)を推測することができます。
- 再生時間 ÷ ナレーションの平均速度 = 『本の合計文字数』
- 本の合計文字数 ÷ 1ページ辺りの平均文字数 =『本の合計ページ数』
一つずつ見ていきます。
1. 再生時間とナレーションの平均速度から合計文字数を推測
ナレーションの1分あたりの平均文字数は300〜350文字です。
【参考記事】原稿文字数と読みの速度との関係 | ナレーション声優スタジオ
参考サイトにはサンプル音声があり、350字/分を聴くとaudibleの標準より結構早いように感じます。
個人的な感覚もありますが、300字/分だとAudibleにだいぶ近い印象です(細かく言うと300字でも若干早い気もしますが)。
そこでこの記事では300字/分を目安にしたいと思います。
合計再生時間を300字/分で掛ければ、そのオーディオブックの推定合計文字数が計算できます。
例)再生時間6時間の合計文字数
6時間(360分) × 平均速度(300字/分) = 108,000(合計10万8千字)
2. 1ページ辺りの平均文字数から本の合計ページ数を推測
1ページ辺りの文字数は本の種類などによって差があり、特に単行本は幅があります。2段組の場合もありますし。
ここでは比較的文字数の幅が狭い文庫・新書を元に考えたいと思います。
文庫・新書の1ページ辺りの平均的な文字数は1行40文字×15行=600文字ほどです。
ちなみに一冊の本の文字数の平均は、文庫で10~12万字程度、新書で8~12万字程度だそうです。
【参考記事】本一冊に必要な文字数は?~最適な文字・行間のサイズ | 冊子製本お役立ちコラム
▼ 平均文字数から平均ページ数を計算すると次のとおり。
平均文字数/1P | 平均合計ページ数 (文庫・新書) | |
---|---|---|
8万字 | 600文字 | 約133ページ |
10万字 | 同上 | 約166ページ |
12万字 | 同上 | 約200ページ |
先ほどの合計文字数をこの平均文字数(600字/1P)で割れば、そのオーディオブックの合計ページ数が推測できます。
例えば、再生時間6時間の場合、合計ページ数は180ページと推測できます。
例)再生時間6時間の合計ページ数
再生時間6時間(360分) × 平均速度(300字/分) = 108,000(合計10万8千字)
108,000(合計文字数) ÷ 平均文字数(600字/1P)= 180ページ
オーディオブックの合計再生時間から推測できる合計ページ数 一覧
上記のような方法で、再生時間から推測できるページ数の一覧を表にしました。
あくまで目安になりますが、参考にしてもらえたらと思います。
再生時間 | 推定合計文字数 | 推定合計ページ数 (文庫・新書) |
---|---|---|
1時間 | 18,000 | 30 |
2時間 | 36,000 | 60 |
3時間 | 54,000 | 90 |
4時間 | 72,000 | 120 |
5時間 | 90,000 | 150 |
6時間 | 108,000 | 180 |
7時間 | 126,000 | 210 |
8時間 | 144,000 | 240 |
9時間 | 162,000 | 270 |
10時間 | 180,000 | 300 |
11時間 | 198,000 | 330 |
12時間 | 216,000 | 360 |
13時間 | 234,000 | 390 |
14時間 | 252,000 | 420 |
15時間 | 270,000 | 450 |
実際手元にある『わたしを離さないで/カズオ・イシグロ(ハヤカワepi文庫)』で試してみます。
再生時間 (Audible) | 推定合計文字数 | 推定合計ページ数 (文庫) | 実際のページ数 |
---|---|---|---|
14時間23分 | 258,9000 | 431 | 430 |
推定ページ数が431ページで、実際のページ数が430ページ。
これは正直予想以上に近い数字になって、ちょっと驚きました…。
ここまで正確な数字になるのは珍しいかもしれません。
オーディオブックの再生時間と実際の本の厚みを画像で比較
最後に「この再生時間だとどのくらいの本のボリューム・厚みなのか」掴めるように、再生時間と実際の本の画像をまとめてみました。
作品は所持している本の中で、audible化してるものをピックアップ。
たまたま双方に多かったので、平野啓一郎作品が多めになってます。
![](https://guideandreviews-library.com/wp-content/uploads/2024/05/img-playtime-volume-scaled-1-1024x1024.jpg)
ページ数 | 再生時間 | |
---|---|---|
坊ちゃん | 140 | 4時間28分 |
東京奇譚集 | 246 | 6時間19分 |
オレたちバブル入行組 | 355 | 9時間31分 |
わたしを離さないで | 430 | 14時間23分 |
私とは何か | 174 | 5時間13分 |
ドーン | 493 | 17時間15分 |
空白を満たしなさい | 493 | 17時間30分 |
決壊(上) | 382 | 13時間40分 |
ピストルズ | 665 | 26時間53分 |
『ドーン』や『ピストルズ』はaudibleでは上下分かれてるので、上下の再生時間を足しています。
あとがき
長編小説の厚みとしては『オレたちバブル入行組』が最も標準に近い厚さだと思います。
そう考えると、再生時間は10時間前後が小説の標準的な再生時間と言えそうです。
そこから『10時間(350P)を超えると長め(厚め)、下回ると短め(薄め)』を感覚的な基準にできそうです。
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