『カエルの小指』(道尾 秀介 著)をAudibleで聴いたので作品内容や注目ポイントを紹介します。
▽ イメージ画像付で作品内容・注目ポイントを紹介
足を洗った詐欺師が久々に仕掛ける、人生を賭けた派手なペテン
詐欺師から足を洗ってから約10年。武沢は実演販売員として真っ当で平穏な生活を送っていた。
しかし、突然中学生に『実演販売を教えてほしい』と頼まれたことをキッカケに、再び人生を賭けた『大勝負』を仕掛けることにー。
『カエルの小指』ショートレビュー・注目ポイント

基本的に上記『紹介画像』と同じですが、画像に盛り込めなかった内容についても触れてます。
※重要なネタバレなし
中年詐欺師コンビが人生を賭けた『大仕事』に挑んだ前作『カラスの親指』の続編です。
10年の時を経て、主人公の武沢はすっかりカタギの仕事に馴染み、平穏な暮らしを送ってるところが前作とは異なります。
しかし、謎の中学生キョウの登場で、再び大掛かりな『騙し合い』に巻き込まれることに。
主題は『騙し合い』ですが、ヒリヒリした犯罪小説というより、ハートウォーミングなストーリー。
『大金がかかった大勝負』ではあるものの、お金以上に『人生そのものを賭けた戦い』という感があって、その点は前作と共通してると感じます。
主人公の武沢をはじめ、まひろ・やひろ・貫太郎など前作の主要人物が再び登場
前作では武沢・鉄の中年詐欺師コンビが同居してる家に、ひょんなキッカケで、スリで生計をたてるまひろ達が転がりこんで、奇妙な共同生活が始まりました。
それから10年、武沢もまひろも裏稼業を引退。
それでも縁は切れずに交流は続いていて、本作の『騙し合い』にも主要メンバーとして参戦します。
謎の中学生・キョウが背負う重い過去と、武沢に接触してきた抜き差しならない理由
『カラスの親指』はキャラや物語の雰囲気は重くないんですが、それぞれの登場人物が背負ってる過去や『業』はかなり重めでした。
武沢とまひろ・やひろ姉妹の関係性など、文字通り『親の仇』。
(それ自体は『カラス〜』でも序盤で明らかになります)
本作のキョウも一見普通の中学生ですが、その背景にはあまりに重く、グロテスクなほどの過去を抱えています。
その切迫した事情がキョウを武沢の元に向かわせ、そして宿敵のカラス(詐欺師)との戦いに繋がっていきます。
詐欺師から足を洗った武沢が10年ぶりに仕掛ける人生を賭けた騙し合い
『コンゲーム』物では『いかに読者の予想を裏切るか』が大きな醍醐味です。
読者は次々と明らかになる意外な仕掛けや予期しない展開に翻弄され続けること必至です。
単純に『意外な事実』の数でいうと、前作よりさらにパワーアップしてると思います。
もう途中から何が本当で、誰が誰を騙してる(騙していた)のか?という感すらあります。
かといって、内容的に難解という訳ではないので、気軽に聴いて楽しめます。
『カエルの小指』作品情報

主な登場人物・人物相関図
主な登場人物でも、ネタバレに繋がる可能性がある人物・プロフィールは記載を控えてます。

詳しい登場人物まとめ
オーディオブックだと頭に入ってこない事があるため、なるべく全人物メモしてます。同様の方がいたら参考にしてください。
※オーディオブックでの視聴のため、正確な表記が不明/誤りがある場合があります。漢字はwikipediaや本を参照。
| 武沢竹夫 | 足を洗った元詐欺師。「ヒューマンブラッサム」に所属し、実演販売を行う。 妻・雪江は肝臓癌、娘・沙代は火事で死亡(前作の内容)。 |
| キョウ | 中学2年生。実演販売をしている武沢に話しかける。 祖父母と暮らす。 |
| 河合まひろ | 妹。31歳。以前はスリで生計を立てる。 10年前にやひろ・貫太郎・武沢・テツと共同生活を送る。 現在も武沢の隣町に住み、交流がある。 |
| 石屋やひろ | 姉。38歳 |
| 石屋貫太郎 | やひろの夫。元マジシャン |
| チョンマゲ | 飼い猫 |
| 津賀和聖也 | 探偵事務所『津賀和エージェンシー』の代表。 |
| 瀬谷ワタル | 『発掘天才キッズ』などに出演する人気男性タレント |
| ヤエガシ | 「発掘天才キッズ」ディレクター |
| カルタニ | 「撲滅ウォリアーズ」ディレクター。 |
| シゲモリ | 「撲滅ウォリアーズ」サブディレクター。 |
| ヤマちゃん | 「撲滅ウォリアーズ」カメラマン |
シリーズ・聴き順
| タイトル | Audible | 再生時間 | ナレーター | 出版年 | |
|---|---|---|---|---|---|
![]() | カラスの親指 | ◯ | 13 時間 6 分 | 多田 啓太 | 2008 |
![]() | カエルの小指 | ◯ | 11 時間 44 分 | 多田 啓太 | 2019 |
どちらも一番のテーマ・見所は裏稼業の人間同士の『騙し合い』。
『武沢たちが戦う敵とその理由』に繋がりはないので、どちらから読んでも問題はありません。
ただ、大きな流れ(武沢が詐欺師から引退→その後の生活)も重要な要素なので、順番通りに聴いた方が楽しめると思います。
また、『カラスの親指』の方は阿部寛主演で映画化もしてます。
Audible利用上の補足
通常、同一シリーズのAudible作品はシリーズをまとめた一覧ページがありますが、『カラスの親指/カエルの小指』はありません。
そのため、各作品ページにシリーズ一覧ページへのリンクもありません。
理由は不明ですが、両作品が『仕様としてシリーズ一覧ページが設けられる前の配信だから』かもしれません。
通常は『各作品ページにシリーズ一覧ページへのリンクがない』と『=シリーズの別作品は配信してない』となるんですが、本シリーズはそういう訳ではないので、一応補足しておきます。
シリーズ関連記事
『カエルの小指 a murder of crows』タイトルの意味・由来について
『カエル・小指・murder(殺人)・crows(カラス)』と全体的に意味が分かりにくいタイトルだと思います。
ネタバレを含まない部分から言うと『crows(カラス)』。
これは作中で『詐欺師』を指します。
『赤詐欺(恋愛関係を利用した詐欺)』のような一般的な隠語ではなく、作中での用語です。
『カエルの小指』ナレーションについて

ナレーションは『多田 啓太』氏一人。
前作『カラスの親指』のナレーターも務めています。
『カラスの親指』を聴いてからだいぶ時間が経っているんですが、『テツさん、貫太郎』など印象的なキャラの声は割と印象に残ってました。
二人とも、あの人柄、あの感じがまざまざと蘇ってきて、懐かしさすら覚えました。
あとがき

この作品は『詐欺』がテーマにしては、違和感を覚えるほど登場人物が普通に良い人です(詐欺師っぽい人当たりの良さではなく)。
なので『カラスの親指』の結末を経て、武沢たちは無事平穏に暮らしていた、という『後日談』を知れて良かったです。
著者自身がインタビューで『(『カエルの小指』を書いて)ようやくカラスの親指を完結させられた』とコメント。
シリーズはこの2作品で完結かと思われます。
参考記事:http://kodansha-novels.jp/1910/michioshusuke/
| 著者 | 道尾 秀介 |
| ナレーター | 多田 啓太 |
| 再生時間 | 11 時間 44 分 |
| 発行年 | 2019 |
| 配信日 | 2020/04/17 |













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